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古本とビールの日々


by oxford-N

オックスフォード便り 96 「古本の秋」

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秋の気配とともに各地、各国からカタログが舞い込んでくる。帰宅後、ポストをのぞくのが楽しみな季節だ。古本好きは、ポストに目録がゴロンと転がっているだけで胸がふるえる。

あの大批評家センインツベリーは、名をあげた後でも、安い原稿料しかもらえないにもかかわらず書評の仕事をやめようとはしなかった。

送られてくる新刊の小包の紐をとく時の「ときめき」が何歳になっても忘れられなかったという。いい話だ。

鹿島茂さんもカタログが送られてくると、「まるで条件反射のように、胸がときめき、喉がカラカラに渇いて、手が震えてくる」と書いている。やはり同じ症状を誰でも示すものだ。
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パリから送られてきたワインレッドの目録はわずか裏表12枚しか印刷されていない。それでもすごく主張のある目録だ。簡素のなかに「にぎわい」がある、いかにもフランスらしいカタログである。

マン・レイの写真集。アンドレ・ブルトンの序文が付き、12葉の写真からなる。写真そのものも面白そうだが、本としても見てみたい気がする。1937年刊行。2500ユーロ。
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次はフランソワ・ラブレー著作集。全3巻。1741年、アムステルダム。再版本だから3800ユーロと安い。
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ガルガンチュワのせりでた下腹をみると、食欲の秋にかまけて出てしまいそうなお腹にたいして、「メタボ・ストップ」をかける効用があるかもしれない。

目録にはほかに『モンテーニュ随想録』(1595年完本、30,000ユーロ)、『カルメン』1846年、6000ユーロ)などが載っている。いずれも逸品だ。

古書店はローラン・クーレ。パリへ行ったらぜひとも寄ってみたい店だ。
by oxford-N | 2008-10-02 21:02 | 古本