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古本とビールの日々


by oxford-N

オックスフォード便り 168 「おせち料理」

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日本からわざわざ届けてくれたお正月の三種の神器の味がすこぶるいい。T.Nさん、ありがとう!

日本にいたら必ず元日にお重にはいって出てくるが、積極的に箸を向けることはまずない。「お飾り」くらいにしかおもっていなかった。

ところが、ところが、である。異郷の地でいただくと、一つ一つのこの主張はどうだろう。

これまで「数の子」はとくに見向きもしなかった。口のなかでつぶつぶが拡散して、魚の卵独特の臭気も正月にはそぐわない、と感じていた。

今回はちがった。正月のキャビアの位置を占めたからである。従来の欠点がすべて長所に転じた。大切に温存していた極上の鰹節と絶妙のマッチングだ。

「ごまめ」もこの類であったが、このような貯蔵品を棚に備え、元日を祝う先人の知恵すらが愛おしい想いとなった。

三品のなかでもっとも素晴らしいと思ったのは、「黒豆」である。大地の肉などという名称は黒豆に失礼である。丹波盆地の農家の皆様、ご苦労様です!

日本から来た「九条ネギ」や「山口豆腐の薄揚げ」をつかった料理ばかりをしてしまい、スモークサーモンやローストビーフに手が伸びなかった。

小豆島の吟醸酒「森」が清水の甘露を味あわせてくれたことも急いで付け加えておこう。瀬戸内海からオックスフォードまで運んでくださったY先生、ありがとう!

こういうのを日本回帰というのだろうか。
by oxford-N | 2009-01-04 19:14 | 日々の情景