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古本とビールの日々


by oxford-N

オックスフォード便り 213 「丸善」

図書館でぼんやり本を眺めていたら、「丸善」の文字が目に飛び込んできた。何だろうと思って目をこらすと、福沢と丸善のことが書いてある。

これはおもしろそうだと思いざっと目を通してみたら、知らないことが多く書かれていた。
丸善は最初薬屋として横浜に開店した。1869年1月、横浜弁天通りに「丸屋商社」という名称で設立された。

しばらくして「丸屋銀行」も設立し資本金5万円であったが株の配分は丸屋善七100株に対して福沢も同額であった。門下生の奥平37株というようにかなり両者の関係は深い。

1870年、東京に、大阪(71年1月)、京都(72年8月)、名古屋(74年8月)と次々に支店を拡張していった。それまで横浜の個人業者から本を仕入れていたが、1872年サンフランシスコ、1874年ロンドンから直輸入するようになる。

維新後8年目にすでに70タイトルの書目を輸入していた。ミルが16タイトル、スペンサーが9タイトルである。「種の起源」もそのなかにまじっていた。1883年には堂々53ページの目録を出している。

福沢は3度渡英しているが、ロンドンから「本を買うしかない、ロンドンでも多く買ったがオランダでも同じように買うつもりだ」と意欲的に語っている。

岩倉使節団がエジンバラに滞在しているとき、新橋横浜間に鉄道が開通し、日本は40年の遅れを痛感していた。内外で一気に欧化が進んだ時期であった。
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by oxford-N | 2009-02-27 01:40 | 古本